特集 助産婦研究論文集
分娩経過に伴う産婦の心理的変化
山下 タケ子
1
1富山市立看護専門学校
pp.613-617
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205279
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1.はじめに
分娩の経過に伴って起こる疼痛や不快感によって,産婦は非妊時においては決して示さないような反応を表わすことが多い。分娩が開始すると産婦には種々の感情が起こってくる。人生における3つの苦しみ(生まれ出る苦しみ,産み出す苦しみ,死の苦しみ)の1つを間近に経験しなければならないという一種の恐怖感と,長い間待ち望んでいた我が子をもうすぐ抱けるという期待,そこに分娩に伴う身体的な苦痛が加わることによって,異様な心理状態を呈するのであろう。
従来,分娩を一種の生理的現象であるとかたづけて,分娩経過に伴って変化する産婦の心理を,産婦の側から訴えをもとにして分析を加えることは,あまりなさなかれった。今回筆者は,分娩体験記として記録された資料を通して,分娩に伴う苦痛がどのような心理的変化を産婦に起こすのかを中心に研究を試みた。
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