Medical Scope
羊水中へ胎便排泄の意義—第2回周産期医学国際シンポジウムから……その3
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.518
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205255
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よく私たちは「羊水がどろどろだった」というような表現で羊水混濁のことを語り合っています。そして,羊水混濁,つまり,羊水中へ胎児が胎便を排泄するということの意義は,胎児仮死fetal distressの存在を示すひとつの症状であると考えています。ところが,実際の臨床例では,多くは,たしかにそのように胎児仮死の存在は明らかなのですが,時に,非常に元気な新生児が生まれてきて首をかしげることもあります。胎児には,どうして羊水中に胎便を排泄する症例と,しない症例があるのでしょうか。そんな単純な疑問をもったことがあるのは,決して私ひとりではないと思います。こんな問題を非常に分かりやすく,近代産科学というか,周産期医学的な分析で解決してくれた方がいます。ワシントンの有名なWalter Reed HospitalにおられるFrank C. Miller博士です。やはり,第2回の周産期医学国際シンポジウムでの話題です。
まず,羊水が混濁していた群,つまり,胎児が出生前に羊水中に胎便を排泄していた症例と,きれいな混濁のない羊水から出生した症例との2つに分けて分娩をみてみることからこの研究は始まりました。そうすると,羊水混濁のあった分娩例では,出生後1分で採点するApgar scoreよりも,出生後5分後に採点したApgar scoreの悪い症例が多いことが分かりました。
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