Medical Scope
羊水中のインターロイキン6
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.269
発行日 1991年3月25日
Published Date 1991/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900290
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多胎妊娠など子宮筋層の過度な伸展によって生じる物理的原因の早産ではなく,単胎妊娠例の早産やPROM(前期破水)例では,その原因が絨毛膜羊膜炎という細菌感染によるものだという話は,ずいぶん前から皆さんの耳に入っていると思います。そして,それを裏づける研究成績が数多く学会でも発表され,いまでは誰も早産の細菌感染説を疑わなくなりました。こうした症例を管理する私たちにとって大きな問題点は,いかにそれを早期に診断・治療し早産を防止するかということと,もし早産になっても母体や新生児を重症の細菌感染症にしないためにはどうしたらよいかということです。
いままでは,早産例の細菌感染,すなわち絨毛膜羊膜炎の診断として,母体の熱発,頻脈,白血球増多,CRP値の上昇,胎児頻脈,羊水中からの細菌検出などの各項目から点数で診断する方法がとられていました。これでうまく診断できて抗生物質の投与などで治療が成功し,早産に至らず,切迫早産でことなきを得た症例も数多くありましたが,一方では,まったく治療に反応しなかったり,入院してきてすぐ早産になってしまう症例もずいぶんみられます。
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