助産婦事典
子宮底長からみたSFD,LFD妊娠の早期発見
野平 知雄
1
,
上田 敦生
1
1東京医科大学産婦人科教室
pp.186-189
発行日 1977年3月25日
Published Date 1977/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205180
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はじめに
近代産科学で急速な進歩をみたなかで,妊娠時に胎児の発育を推定する試みとしては羊水情報,ホルモン測定,超音波断層法等の検査法の開発があげられよう。これらの方法は適中率も高く,しかも信頼性のある検査法であるが,まだ産科外来でルチーンとして使用するには,煩雑でなかには高価なものもあり,利用するには制限があるのが現状である。一方,産科合併症,たとえば糖尿病,妊娠中毒症等のhigh riskのある妊婦からLFD(large for date baby),SFD(small for date baby)が多く発生しやすい。そこで,妊娠中に早目にLFDもしくはSFDを予測することは,胎児管理,出生後の予後のうえからも重要なことである。
日常の産科外来では,子宮底長の計測法が常用されている。この子宮底長は胎児体重とよく相関するとされているからであるが,しかし適中率からみると,私たちの成績で65%,諸家の報告でも57〜70%と必ずしも高くない。これらの報告は,妊娠末期の子宮底長と胎児体重との関係をみたものであり,妊娠経過中に早目に推定するとなると,もっと適中しなくなるであろう。しかし,もっとも簡便であるところからスクリーニングとしての価値はまだ失ってない。
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