原著
母體身長と妊娠子宮底長との相關關係に就いて(その1)
明石 政雄
1
1慶應義熟大學醫學部産婦人科教室
pp.358-366
発行日 1950年9月10日
Published Date 1950/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200385
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緒言
妊娠時期の診斷は産科學上極めて重要な問題であつてこの判定は問診より得られる最終月經受胎せる性交日,惡心,嘔吐の開始日,胎動の初感日或は檢査より得られる子宮體の大さ,子宮底の長さ,胎兒身長兒頭の大さ,硬さ,腹圍の大さ並に妊娠各月に特有と見られる其の他の内外診所見等々の總べてを綜合して初めて下されるべきものであつて單にその一二のみに拘泥すべきものでない事は勿論であるが判定の實際に當つて最も普通に用いられ且妥當な方法は最終月經を主な標準となし子宮體の大さを參考として判定する法である.而して最終月經が不明或は不詳の場合には子宮體の大さを主な標準として妊娠時期を判定しなければならない.然るに從來は移動性高い臍を基準とし然も子宮底の高さを以つて妊娠時期を判定しておつたのであるが獨のPiering氏本邦の今井氏以來安藤,白木氏等の賛同を得て移動性高い臍を棄て固定點たる恥骨結合上縁を基準とし然も子宮體の大さ即ち子宮底の長さを測定する法の最も妥當なる事が最近認められるに至つた.この方法に依る妊娠時期判定に就いてはその後藤井,木村,川北,國定,尼崎等に依る多くの研究報告がある.
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