Medical Scope
CPDの診断まで(Ⅰ)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.442
発行日 1976年7月25日
Published Date 1976/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205079
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第28回日本産科婦人科学会の教育講演で,日医大の鈴木正勝教授が「CPDの管理」と題して,たいへん臨床的なお話しをされましたので,皆さんの参考となる部分を,ここ2,3回のMedical Scopeでとりあげてみたいと思います。
CPDという診断名は児頭骨盤不適合という日本語名で広く私たちの間に用いられ,日常にはCPDそのものが日本語として通用しているかのようです。CPDとはcephalopelvic disproportionの頭文字をとった略語で,胎児の頭と母体の骨盤とがうまく適合しないので,経腟分娩は不可能であるという意味の診断名です。したがってCPDと診断がついたら,もう帝王切開以外にその症例では分娩方法がないのだという意味をもっていることを再確認してください。CPDには種々の原因があります。例えば,母体の骨盤が何らかの理由で変形しているために児頭の大きさは正常なのに通過できない。これは母体側が原因のCPDです。また,骨盤の大きさは正常なのに胎児が大きすぎて通過できない。これもCPDです。このように,CPDといわれる症例には非常に数多くの原因が含まれています。しかし,そのなかで共通している唯一のことは,骨盤の大きさや形と胎児の頭の大きさの,両者の比較を常に考えての判断であるという主旨です。
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