特集 肥満妊婦の問題をとらえる
陣痛微弱から緊急手術に至った例
吉田 登世美
1
1虎ノ門病院分娩室
pp.267-271
発行日 1974年5月25日
Published Date 1974/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204701
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1.はじめに
終戦後の食糧難時代には,食糧不足のための栄養失調が多く,妊婦への影響も免れなかったが,その後,経済成長の発展と共に国民の生活状態も安定してくると,栄養も改善され豊富な食生活の中に,日本人の体格も変化してきた。その中で新たに問題となってきた肥満は,幼児・学童はもちろんのこと,成人の分野においても大きくとりあげられるようになった。
特に産科における肥満の問題は,娠妊中毒症,前期破水,遷延分娩,帝王切開,巨大児(4000gr以上),分娩時出血など,肥満度が加わるにしたがって,その発生頻度も増加していることが報告されており,肥満による分娩への影響を無視することはできない。少ない症例の中からここに存在する問題と対策を検討し,今後の参考としたい。
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