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卵管環境
鈴木 秋悦
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.76-77
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204343
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はじめに
卵管は卵巣と子宮の中間にあって,主にその解剖学的な位置における機能のみが強調されてきたが,生殖機構の詳細が解明されるにいたり,性細胞におよぼす卵管因子に関与,受精卵の初期分割発生過程における卵管分泌液の重要性などが明らかにされ,卵管機能は,卵管環境として意義が再認識されてきた。
臨床的にも,不妊症の原因としての卵管因子は,卵巣因子や男性因子などの,他の原因にも優る重要な因子であると報告されてきている。しかしながら,従来は,ほとんどが卵管の疎通性などの器質的障害に関する問題としてであり,原因不明の機能性不妊の中に含まれていると思われる卵管環境の異常については,まったく言及されてきていないのが現状である。
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