最近の焦点
子宮外妊娠—とくに卵管妊娠の成立機序
鈴木 秋悦
1
,
井上 正人
2
,
板倉 紘一
2
,
浜田 康生
2
Shuetsu Suzuki
1
,
Masato Inoue
2
1慶応義塾大学産婦人科
2慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.703-708
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204449
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はじめに
子宮外妊娠は産婦人科領域における救急疾患として,日常診療上でも非常に重要な疾患であるが,その病因あるいは成立機序に関しては不明の点が少なくない。子宮外妊娠の頻度は,文献上でも,妊娠2万例につき1例から70例に1例と報告によつて一定していないが,頻度としては近年さらに増加のカーブを辿つていることは事実である。その誘因は,多彩であるが,一般に低開発国に多く,米国内でも黒人層に多く発生すると報告されており,各時代の社会的背景によつても影響を受けるという特徴を示している。
子宮外妊娠とは,子宮内膜以外の部位の妊娠をすべて包括して呼称されるが,厳密には異所性着床または異所妊娠の名称が適当である。部位的には,卵管,間質部,卵巣,腹腔内,頸管などの妊娠に区分されるが,中でも,特に,卵管妊娠はその代表的な病型であり,外妊といえば卵管妊娠を指しているといつても過言ではない。
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