特集 新生児死亡
化膿性髄膜炎で死亡した未熟児の一例
内藤 達夫
1
1国立小児病院小児科
pp.25-29
発行日 1971年2月1日
Published Date 1971/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204071
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I.はじめに
新生児の髄膜炎は,大部分細菌性化膿性髄膜炎です。その頻度は,生産児の0.3%,または,新生児死亡の約1%を占めるといわれています。新生児期には,それほど稀な疾患ではなく,死亡率は高く(60〜70%),死亡しなかった例でもその1/2〜1/3が後遺症を残す点などから,新生児期の疾患としてつねに頭に入れておかなくてはならない重要なものの1つです。
このように重要な疾患であるにもかかわらず,診断がなかなか困難なことがあります。それは,新生児の髄膜炎が,それ以後の乳幼児の髄膜炎と臨床症状がかなり違うからなのです。むしろ,新生児以降の乳幼児髄膜炎に典型的に見られるような症状はあまり見られないといっていいかもしれません。また,同じ新生児でも,未熟児の場合は成熟児の症状とは異なる点が多く,いっそう診断を難しくさせることがあります。
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