連載 私は赤ちやん・11
パーパーとパップー
田村 昭子
1
1東京警察病院付属高等看護学院
pp.40
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202933
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「パーパー」と「パップー」,これがいまのボクに言えることばらしいことばである.「お兄ちゃんは359日目で歩きはじめ,意味の通じる言葉を5つぐらい言えたのに,この子はお誕生になっても,『パーパー』と『パップー』しか言えないし,まったく歩こうともしないわね」と大人たちは心配している.
まず口から出たことばが「パーパー」である.まっ先に喜んだのはもちろんパパ.「ボクのことをいちばん先に呼ぶようになった」よそへ行っても「パパさんがよっぽどかわいがると見えて,パーパー,パーパーと良く言うわね」と点数を上げている.ボクはパパを意識して呼んだのではないが,なにげなく言えたのが「パーパー」なのである.しかしそう言うたびにパパがこちらを向いてニッコリ笑うし,みんなも「そらまたパパを呼んでいるわよ」と言うので,パパに用事のあるときは,パパをひっぱってパーパーと言うことに決めた.
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