らいぶらりい
—吉岡修一郎著—医学的,心理学的にみた思春期/—「明治文学全集」第1回配本—森鴎外集
新福 尚武
1
1鳥取大学
pp.46-47
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202920
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本書はひと口にいうと,青年期前期(ロー・ティン)の心理的,生理的さまざまな問題を具体的にとりあげ,わかりやすく説明し,明瞭な指針をあたえる教養書である.
この期はこんにち親,教師,一般社会の最大の悩みのたねとなっているが,その原因などに対する見解はまことにまちまちである.あるものは教育,わけても中学教育に欠陥があるという.それは正しいが,さて教育をしっかりしろといってもどう教育するのがよいのか,教育すべきものについてよく知らないでは,どうにもならない.ところが,著者によると,この期の研究は医学的・心理学的にほとんど進んでいないという.それで本書は最近の医学的・心理学的知識をまとめ,それによってさまざまの問題に多面的,総合的に光りをあてていくべき方向を明らかにしようとする.けだし,このような多面的な問題をもつ著書の著者としてこの著者ほど適任のものも少ないであろう.心理学を専攻し,社会,歴史,哲学にふかい造詣をもち,さらに医学とくに精神医学の研究にたずさわっているので,著者の知識は豊かで,視野は広く,考えは中正かつ進歩的である.
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