奇形児の問題・5
人命の尊重
大島 正雄
1
1京都母性科学研究所
pp.49-51
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202740
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1.明るいニュース
昨年4月,フィンランドのスラマー教授が招かれて,アザラシ奇形の整形手術を行ない,手術を受けた児の経過も極めてよい成績を示しているとの報道は明るいニュースでまことに喜ばしいことであります.
この手術は,鎖骨を外して上膊骨の代用をさせるのですが,鎖骨を外すことによって外方に張り出た両腕が内方に向かい,見た形もよくなるとのことです.しかし,この明るいニュースも,全部に行きわたるものではなく,この手術の条件に適った場合に限られています.たとえば,下肢の奇形については何の力も及びませんが,これをきっかけに,いろいろ整形手術の方法が工夫されることになれば,スラマー教授の手術も意義深いものですし,またそうならなければならぬものと思います.
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