連載 人間と教育・22
生命の尊重と人口問題
上田 薫
1
,
加藤 由美子
1前都留文科大学
pp.726-727
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900931
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「人間ははたして何歳まで生きてよいのか」と私は問いかけた.老人がどんどんふえていく.いや人間はいよいよ死ににくくなっていく.そのことを念頭から去らせていてもほんとうによいのかと,いま老いたる私はつい思わずにいられないのである.
そんな暗いことを考えるなといわれるであろう.人間を健やかにしたい,少しでも長生きさせたいと日夜心を砕いている医療に携わる人たちからは,冒とくもはなはだしいと叱責されるに相違ない.が,医療と政治が老人になんとかぎりぎりまで自立と活動を可能にしてでもくれぬかぎり,私の心はなごまない.お粗末な財政プランのみの老人対策は,まさに政治と文化の救いがたいまでの貧困をものがたってはいないか.
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