母性保健特集講座 分娩介助
助産所における分娩介助
大木 ぎん
1
1静岡県助産婦会
pp.13-15
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202728
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人工衛星が飛ぶ文明の今日においても,妊娠分娩の生理現象は昔と少しも変わっておりませんし,また今後もおそらく変わることがないでしょう.そして妊娠すれば,誰しも胎内の新しい生命に深い喜びを感じ,指折り数えながら生まれいずる日を待つのであります.しかし産むということは,決してたやすいものではなく,そこに一抹の不安を覚えるのは,むしろ当然でありましょう.お産をするまでには,難産でなければいい,健康児であってほしい,五体完全であってほしいという願いをこめているのに相違ありません.特に文化の開けなかった昔は,そういう気持ちが強かったのですが,その点今日のお母さんたちはずいぶん恵まれており,ほとんど不安を覚えることなく,出産することができます.特に経験の深い助産婦が持つ分娩介助は,非常な進歩が見られ,正規産ならまったく安心して出産することができるようになりました.
この頃病院または医院での分娩が多く見られるようになりましたが,病医院の分娩はいろんな病人をまじえた場所であるだけに,病気感染という心配があるのであります.私たちの助産所は健康な妊婦さんを扱うだけでありますので,病気感染の機会はまったくなく,そのへんは何ら心配がないことは何より心強いことで,妊婦も落ち着いた気持ちで安心して分娩することができるばかりでなく,極めて家庭的な雰囲気にひたりながら分娩できるということは,いっそう安産に導くことになるのであります.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.