らいぶらりい
—安藤 徹・伊藤 篤子共著—症例研究と発表のしかた,他
幡井 ぎん
1
1虎の門病院
pp.46-47
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202701
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看護が日進月歩の発展をするためには,新しい看護技術を症例に応じて報告する義務も生ずることは言をまたぬところである.医学論文や,症例報告(医学者による)はその歴史の古さからすでに一定の方式が確立されているが,看護のそれは歴史が浅いために多くの発表論文は前者に比べてはなはだ見劣りがする.看護と医療が戦後形式的には独立分離したのであるが,内科学や外科学等等の臨床医学に対比して看護学というものの概念が薄弱である.看護学というものが存在するものかどうかもいちおう問題となるが,私はそれが学問的な裏づけがなされなければならないと思うし,またそれが可能であると信じている.そこで学理にかなった技術的な発展と,学問に裏打ちされた看護方法を,実験的な研究や各疾病の症例報告によって数多く発表され,またそれが文献として将来に残るものであることを大いに期待している.
ところで前述のように看護の医療からの独立が戦後はじめて達成されたわが国においては,ようやく最近になって看護雑誌だけではなく看護に関係した多くの専門著書が発行されるようになった.歴史的にまだ日も浅いので不慣れな発表や論文が多いのはいたし方のないことである.
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