特集 新生児外科
産科の立場からみた新生児外科
鈴村 正勝
1
1日医大産婦人科
pp.10-14
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202395
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
新生児は,従来産科医,助産婦の担当領域であつて,特別の疾患の場合に小児科,外科等の専門家と相談して診療にあたつていた.しかるに,最近になつて,欧米特に米国流の産科学が導入されるにつれて,小児科医の進出が著明となり,現在においては,未熟児の大半は小児科医の手にまかされ,場所によつては新生児の看護も全く産科医助産婦の手をはなれて,小児科医および看護婦の手に移つている所もある.新生児の診療,看護に小児科医および看護婦の方々の参画されることはむしろ望ましいことであつて,決してわれわれ産科医および助産婦の忌避すべきことではないことは論をまたない.しかし,問題はわれわれ産科および助産婦の側にある.小児科医の方々が熱心に新生児を診療されるからといつて,全部人まかせでいてよいものであろうか.新生児は小児のはじまりではあるが,また一方では,胎児が羊水の中で,母体から酸素・栄養をうけていたのが,急変して独立した生体として大気中に呼吸するに至るその間の呼吸・循環をはじめ各種の変化はめざましいものであつて,人生の中でこれ程の試練をうけることは他にはないと思われる.また,その際に分娩という現象の下で,胎児に加えられる圧力をはじめとして種々の影響もまたきわめて大きいものであろう.この点に関しては,分娩を管理する産科医および助産婦の責任はきわめて大である.
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.