現代のカルテ
総裁公選の底にくすぶる暗躍
pp.40
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202372
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この雑誌が発行されるころは,参議院選挙が文字どおり最後の土壇場で,7月1日の投票日を目前に控えて,必死の追い込みである。したがつて政界の表面は,参議院選挙一本に絞られ,他の話題はそうたいした動きはみられないが,底に流れるものは,どうしてそんなナマやさしいものではない.それはむしろ参議院選挙のために手控えているから,かえつて内攻型となつて,ジメジメしたものとさえいえそうだ。だから参議院選挙が終れば一ぺんに表面化し相当の混乱を起こしかねない形勢である。
それはいうまでもなく,参議院選後すぐ目の前に迫る自民党の総裁公選についてである.こんどの総裁公選は九分九厘まで,池田総裁の再選が常識になつているが,いま党内の底流にくすぶつている大きな問題は池田再選にしても,公選の方法に問題があるというのが,早くから論議されている。というのは,公選という名称はいかにも立派で,自由に自分の信ずる人格高潔の人物に投票する制度のようにみえるが,いままでのどの総裁公選を顧みても,買収や饗応によつて莫大な金が動き,公選という字が泣き出しそうなものばかりだつた.しかも,この公選は公職選挙ではないから,選挙違反で検挙される心配もなく,それだけにおよそ腐敗選挙の横綱といつてもさしつかえない腐敗ぶりである.
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