現代のカルテ
総裁再選の舞台裏
永田町山人
pp.48
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202390
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参議院選挙も予定どおり勝利を博し,総裁公選もいざこざはあつたが池田総裁が再選されて,まずまず,"わが世の春"を謳つている自民党は,ほんとうならばまことに天下泰平の筈である.ところが実際は,長かつた今年の梅雨のように,ジメジメした空気が,一向に晴れそうもない.池田さんが総裁再選の余勢を駆つて,どんなに威勢のいいことをブッてみても,党内の空気はどことなく澱んでおり,天下の第一党にしてはひどくシメッぽいものが感じられるのである.それは一体なにが原因なのだろうか.
一口に言つて,それはもう次の総裁争いがはやばやと,舞台裏で火花を散らしているからだ.今回の総裁公選は,池田総裁が再選されることが始めからわかつていた.「こんどだけは池田にもう一度やらせよう」という気持は,党の実力者たちのほとんどが一致したものだつたし,対抗馬とみられた藤山氏にしたところで,自分が立候補して当選できるなどとは,ツユほども思つていなかつたのである.それなら何故落選することがわかつていながら,立候補するのしないのと,騒ぎ立てたかというと(本人は少しも騒がなかつたというかも知れないが)すべては次の総裁公選のときに,如何に有利に展開するかということへの,布石にすぎないのである.
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