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母子のエモーショナル・ニード
浅賀 ふさ
1
1日本福祉大学
pp.14-17
発行日 1962年5月1日
Published Date 1962/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202328
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はじめに
助産婦の役割は,人々の人生がこれから初まろうとする扉の入口にたつて母と子の援助をする,又とない重要で楽しい役割であると私は思う.母親の妊娠中から生れて来る子のために,肉体とともに精神健康を守つて下さる助産婦があれば,それだけ明るい社会に貢献されるわけである.ここで母子と標題に掲げられているが,母も子も家族の一部で,家族の他のメンバー達と全く切離して母子の幸福とか不幸というものはない.米国でも最近10年程は家族診断を重要視して,一つの問題,たとえば子供の神経症状,行動問題,精神身体疾病のどれを扱う場合でも家族全体の相互関係を理解して,治療もそれに従つたアプローチをするようになつた.ここではそこまで深く入ることは出来ないが,助産婦が実際に妊産婦や乳児の世話や指導をされる場合,家族全員の和,不和関係が母親の肉体及び精神にどのような影響を与えているかということに気を配ることの必要性を指摘するだけに止めることとして,以下母子衛生に関する情緒的問題の理解に備えて,妊娠,出産,親子どもについて述べて見よう.
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