講座 予定日超過と流早産・2
習慣性流早産患者の統計的観察
渡辺 金三郎
1
,
飯田 茂樹
1
1名古屋市立大学医学部産婦人科教室
pp.40-44
発行日 1961年4月1日
Published Date 1961/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202109
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はじめに
習慣性流早産とは,3回以上連続して流早産を反復するものを言い,これの原因に就いては古くから,多くの研究者達によつて,色々の方面からの探索が行なわれて来ましたが,その原因が極めて複雑で,これを一元的に解決することができない為,その一部のものについては原因の解明がなされ,合理的な治療が行なわれておりますが,なお多数の未解決の分野が存在し,挙児希望の夫婦にとつては,不妊症と並び,極めて重大な問題であり,学問的な立場よりの早急の解明が切に望まれる所であります.これの重要性に鑑み,当教室においても,数年来,本問題についての検索が行なわれ,その原因の一つである頸管無力状拡大症についての治療指針の確立をみたのでありますが,現今なお多方面に亘る研究がなされ,習慣性流早産の原因,並びに治療に関する全貌も徐徐に判明して来るものと思われます.しかし本問題探索の基盤として,本症患者の実態を把握することは極めて重大な意義を持つものと思考されますので,最近11年間における当教室外来を訪れた本症患者につき統計的観察を試みると同時に卑見を加えて概説することとしました.
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