創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
咽喉頭—症候と疾患
習慣性アンギーナ
形浦 昭克
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科
pp.815-816
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208758
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習慣性アンギーナとは,扁桃炎を反復して起こす場合をいうが,かかる扁桃は元来,慢性炎症を持つているもので,これに気温の変化,身体抵抗力の減退や隣接臓器の上気道炎症などにより,急性増悪を起こしたものと考えられる。習慣性アンギーナは病巣感染における病巣としての役割を果たす可能性が多いのでその診療については十分把握しておかねばならない。その急性増悪を起こした場合の診断は決して困難ではない。しかし急性症状が去つたあとのいわゆる慢性期の診断には熟練を要する。すなわち慢性扁桃炎の自覚症状は比較的軽く,咽頭異物感,乾燥感,倦怠感および多関節痛などが出現するが,無自覚のこともある。局所所見は一般に何ら特徴を持たないが,反復して炎症を起こすので,外観上小さく,埋没型のことが多い。表面は凹凸不整で硬く,陰窩配列は不規則で膿栓の貯留が認められ,さらに扁桃周囲を圧迫することにより膿汁の流出がみられる。また扁桃周囲と癒着していることが多い。ことに反復して扁桃炎を起こす小児では頸部リンパ節腫脹が非特異的に見られるので鑑別診断には慎重を要する。習慣性アンギーナの定義はなお明確なものはないが,小児ばかりでなく成人におけるそれは,すでに述べた如く慢性炎症の潜伏病巣から急性炎症が反復するもので,その罹患回数によるが,年4〜5回位がその基準としておくのが良い。またASO値の上昇,CRP陽性および白血球増多などの血清学的所見が,習慣性アンギーナに多く認められるし,その治療法には保存的治療と扁摘がある。
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