講座
小児麻痺の流行—脊髄性小児麻痺
鈴木 良平
1
1東京大学医学部整形外科
pp.13-15
発行日 1958年9月1日
Published Date 1958/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201528
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1.いとぐち
ふつう小児麻痺といわれる病気は大別して脊髄性小児麻痺と脳性小児麻痺とに分けられる.一般に前者は弛緩性麻痺,後者は痙性麻痺という形であらわれ,原因はまつたく別のものである.後者の多くは早産,難産,分娩時の脳外傷のように先天性又は出産時の障碍によるものが多く,一部に脳炎や脳膜炎などの後天的なものがあるにすぎない.これに反して前者はすべて伝染性疾患なのである.今回は前者について述べることにしよう.
この疾患は一名発見者の名前をとつてハイネ・メジン氏病と云われ,又病理解剖学上の所見から急性脊髄前柱(角)炎とも呼ばれている.医者の間ではPoliomyelitis anterior acutaというラテン語を略して,ポリオという名でもよびならわされている.
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