巻頭言
脳性麻痺をなくすために
鈴木 良平
1
1長崎大学整形外科
pp.655
発行日 1979年9月10日
Published Date 1979/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104195
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第3回脳性麻痺懇話会が,イタリーのMilani-Comparetti教授,スイスのKöng博士,Quinton女史を迎えて,1979年5月19,20日に長崎市で行われた.その前日にはMilani-Comparetti先生の講演会があり,懇話会のあと1週間にわたり,Köng,Quinton両先生による講習会が諫早市で行われた.その間,これらの先生に個人的にも親しくおつき合いすることができ,脳性麻痺にかける情熱と豊かな人間性に心を打たれた.これらの会に参加された人々の熱意は講師の方々にも通じたようで,同じ目的意識を持つ人同士でなければわからない感動が,日を追うにしたがって高まり,それぞれ学んだ知識以上の何ものかを土産に再び職場に散って行った.脳性麻痺の診察にいくらかでもレベルアップをもたらすことができたと,主催者として誇りに思う次第で,これも講師や参会者の熱心な討論によるものと誌上を借りてお礼を申し上げる.
脳性麻痺は古代から注目されてきた疾患で,種々な地下よりの発掘物の中にその証拠があるが,医学的に学問的形態をとったのは,1853年英国の外科医W. J. Littleの記載を以て嚆矢とする.それ以来幾多の先人の努力にもかかわらず,その治療法の解明は遅々として進まず,幼児期以後の患者に対し,機能訓練を主体とした治療法や社会的リハビリテーションが主流を占めてきている.
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