書評
「上手な話し方」保健婦雑誌5月号
S
pp.41
発行日 1957年7月1日
Published Date 1957/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201301
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一寸おそずぎた感なきにしもあらずであるが,「保健婦雑誌5月号」の御紹介をしたいと思う.というのは一人の助産婦さんにこの雑誌を差し上げた所,大変喜んでいただいた上,助産婦雑誌は何故このような企画をしないかと質間された.しかし保健婦雑誌を助産婦さんや看護婦さんに買つていただいても一向に差しつかえないというより「上手な話し方」というこの特集号は決して読者を保健婦さんだけに限定しているわけではないのである.
さて内容は,先ず老人に対する話し方,子供,病人,農村人,十代母親に対する話し方等対象による話し方が,それぞれその道の専門家によつて書かれている.後,仲裁のしかた,説得のし方,慰め方,上手な聞き方,上手なことわり方,云訳のし方,事柄によつての話し方の方法が書かれている.合づちの打ち方では徳川夢声氏が登場して,なかなかに味の深い事を話している.考えて見れば私達の生活は言葉,言葉,言葉のあけくれである.そして助産婦の職業は又,もつとも言葉を意識しなければならない種類のものであろう.受胎調節の指導等の話しかけ,上手に聞いてあげる事に迄,その仕事が拡がつた今日,話し方,聞き方をもう一度考えて見る必要はないだろうか。その為にこの「上手な話し方」をお奨めする.数少い話し方の勉強の書であると共に,読みものとしても楽しめる点がいい.
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