社会の動向
公衆衞生は黄昏か?
長谷川 泉
pp.48-49
発行日 1957年7月1日
Published Date 1957/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201303
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最近,多少でも公衆衛生の問題に関心を持つ人たちの間に,けんけんがくがくの議論を巻き起していることがらがある.それは何かといえば公衆衛生黄昏論といわれるものである.
公衆衛生黄昏論とは,いつたい何であるか.——ことは,昨年の秋にまでさかのぼる.かいつまんでその要点だけ記すことにしよう.昨年の秋に「公衆衛生」という雑誌に,ある保健所医師(匿名でPというサインがしてあつた)の投書が載つた.理路整然たる文章で,現在の政府のやり方では,人気とり政策のために公衛衆生の犠牲に於て政権維持のための社会保障政策らしいものをやるであろうから,公衆衛生の前途は甚だ悲観的である.まさに公衆衛生は,黄昏どきにさしかかつたのではないか,この自信喪失を要路の人たちはいつたいどうしてくれるか——といつたような論旨であつたと思う.
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