特集 上手な話し方
十代への話し方
羽仁 説子
1,2,3
1自由学園
2子供の友
3婦人民主クラブ
pp.34-37
発行日 1957年5月10日
Published Date 1957/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201401
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"話しかける"また"話しあう"ということは,現代の世界的な課題だといつてもさしつかえないとおもう.おたがいに,いいたいことをひかえていると,かえつて,人と人,国と国とのあいだにけわしい関係が生ずるということが反省されている現代である.
殊に,私たち,日本の女性は,たつたこのあいだまで,女ははきはきものをいわないほうがおくゆかしいとか,女が口ばしをいれるのはつつしめとかいつて圧えられて来たのである.そこで,本来,人間が人間としてたのしい社会をつくってゆくために大切な"ことば"がいえる"ものをいう"ということが正当なあつかいを受けなかつたのだから,洗練されず,深いもの,たかいものにならず,おしやべりだの,うわさばなしだの,無責任な悪口だのという,それこそはしたないものになつてしまつたのである.話しかけるといえば,ただ敬語をむやみに使つたり,いわゆる"ざあませ"というような自分をきどつてみせるような,体裁ばかりが問題にされたということもあわれなことであつた.保健婦さんがたが,話しかける,話しあうということについて考えなおし,苦心し勉強してみようと考えられていることはすばらしいことだとおもう.
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