口絵
未熟児をすこやかに—都立世田谷乳児院未熟児センター
pp.2-4
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201095
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玉川線上町駅から三分,緑の高台にある世田谷乳児院に隣接して建てられた未熟児センターは,写真のように,楕円形のスマートな感じがする近代的建物である。中に入ると,ガラス張りに完全に隔離され,たゞでさえ汗ばんでくる中で,純白のガウンに,マスクをつけた看護婦さん達が,温度,酸素,哺乳等細心の注意を払つている。そして中の部屋は数室に分かれ,未熟児の順調な発育とともに,それに適した新しい部屋へと移されていく。
最近未熟児の問題が,新生児死亡の中で大きな問題としてとり上げられて来たが,大坪院長は,先日,現在の様に人口過剰に悩んでいる日本で,未熟児なんてどうでも構わないではないか,という質問を受けられた時,エベレスト征服の言葉を引用して,山があるから登るのだと同じで,未熟児が生れるからだと答えられたそうである。此の言葉の中に,此の仕事に打ち込んでおられる先生の良識と,情熱が感じられる。先ず未熟児出生の予防を,万が一生れてしまつたら健全に育てなければならない。
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