特集 【研究する人間】木下康仁先生の功績と足跡
Ⅰ.研究者として,教育者として—木下康仁先生との在りし日
Ⅰ-1 社会学
木下先生の教え:本人に考えさせる
松繁 卓哉
1
1追手門学院大学社会学部
pp.16-18
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580010016
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木下先生との出会い
2004年の夏,JR四ツ谷駅の改札で私は初めて木下先生にお目にかかりました。その時私はロンドン大学の大学院にある修士課程に在籍しており,すでに修論を提出し,間もなく課程を修了しようという時期で,一時帰国していました。本当はそのままロンドンで博士課程まで進みたいと思っていたのですが,経済的な事情等のため,続きは日本の大学院で働きながら学位取得を目指そうと考えるようになりました。そして博論は質的研究でまとめようと考えていた私は,木下先生のもとで論文指導を受けたいと思っていました。
木下先生のお名前は,ロンドンで修士課程での学習を続ける中で知りました。研究方法の授業でグラウンデッド・セオリー・アプローチを学び,やがて,この手法の諸問題を整理し新たに修正版として再構築している先生が日本にいらっしゃるということを知るに及びました。面識はありませんでしたがロンドンから木下先生へメールを送り,面談のお願いをしました。確か先生はその時,上智大学からの依頼を受け,質的研究の集中講義をしていたのだと思います。

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