特集 1949年度の回顧と50年の展望
勞働衞生
石川 知福
1
1東京大学
pp.194-197
発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200615
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終戰後4年を経過した1949年は労働基準法が実施されてから第3年目の年に当る。日本の現在の労働衞生の実際面の歩みは労働基準法の実施がその原動力をなしている。労働基準法は労働衞生を基調としているが,その実施細綱に挙げられている。生命と健康の防護に関する数字は,或る意味で從來の労働衞生学的研究の総決算を示すものと見ることが出來るであろう。然るに戰後外國文献,特にアメリカの定期刊行物及び單行本を入手する事が出來るようになつて,戰時中のアメリカの進歩と比較し,我が國の労働衞生領域の研究の方向と実際面の運営技術について多くの修正を加えなければならないことが考えられる。この意味で,私共労働衞生の研究に携つているものにとつては,日本の労働衞生についての從來の諸研究を外國のものとも比較して,國際的なものにまで修正することが,私共に負わされた一つの責任であると思う。
一方産業労働上の活動のうち,特に日本独特のものについて,或いは國際的な観点から日本がとくに遅れている方面の研究を急速に促進させることも私共の一つの任務であろう。
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