医学の話題
潜在性ビタミン欠乏症
杉 靖三郞
1
1教育大
pp.24-25
発行日 1953年11月1日
Published Date 1953/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200477
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ビタミンには,A,B,C,D,E……といろいろあつて,そのどれか1つが欠乏しても病気をおこすことは,皆さんご存知でしよう.たとえば,Aが欠乏すると眼に潰瘍ができたり,トリ目になつたりします.またBでは,B1が欠乏すると,脚気になります.これは,これまで日本には多かつたのですが,これは米からヌカをとりのぞいた白米を食べるので,ヌカについているB1がなくなるからです.またCが欠乏すると皮膚や粘膜から出血しやすくなる潰血病をおこします.それからDの欠乏ではセムシになるクル病がおこり,Eの欠乏では,不妊がおこることなど,みなよくご存知でしよう.
そのほか,ビタミンKとかPとかいうのがあつて,これが欠乏すると血管から出血しやすくなります.これは,Kが欠乏すると血液の凝固がわるくなるからであり,Pが欠乏すると血管から血液が浸み出しやすくなるからであるということがわかつています.また,ビタミンLも欠乏すると乳汁の分泌がわるくなることもわかりました.
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