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トリクーンによる自家使用麻醉
Lawrence Galton.
,
森島
pp.47-50
発行日 1953年8月1日
Published Date 1953/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200417
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大多数の人々は疼痛を考えるだけでも縮みあがつてしまう.痛みを与えられるだろうという苦痛で医師や歯科医を見ただけで逃出してしまう患者がある.しかし医学の発達は痛みに関する心配を取除いてくれた.今では大外科のみならず多くのいわゆる小外科でも,手術や操作時の苦痛を除き,患者自身が自分の意のままに,苦痛を支配することさえできる.たとえば膿瘍を穿刺したり,切つたり,或は莿を取つたり,火傷を清掃したり,或は骨折を整復しなければならない場合がある.そこで患者は医師の診察室や,患家で彼が欲するままに患者自身の顔に小さなゴムマスクを裝し,数回の深呼吸をすることでたちまちその苦痛が消えてしまうのである.医者が操作を終つた後で患者はすぐ立上つて歩き出すことができる.それによつて患者は何等の苦痛もなく,嘔心とか無感覚とかの副作用なども全然無い.それが自家使用麻醉の新発展なのである.
この自家使用麻醉は米国Duke大学で4カ年以上も試験を行つたものて,医師の事務所でも,救急処置の場所でも,家庭でも,又病院に行く救急車内でも使用されつつあるのである.
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