今月の言葉
心の粧い
pp.5
発行日 1953年5月1日
Published Date 1953/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200338
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いつも若くいたい美しくなりたいというのは,誰しももつている願いであり,人間の本能ともいえるものであろう。戰後の逼迫した状態を脱して,近頃は生活と心持ちにも落付きをとりもどしてきたとともに,外国の影響もあつて,近頃はなかなか化粧も上手になつたようである。さて美しくなるためには種々の化粧法がある。この場合ただ体の外部に現れた部分だけに手当をすることも,たしかに化粧法の一部にちがいない。しかし,これだけで,はたして眞に美しくなれるであろうか。便秘しているときには,はだが荒れる,睡眠不足すれば,顔貌まで変つてくる。栄養の如何が皮膚の美しさや,肉づきに重大な関係があることはいうまでもない。それ故近頃の米国の美容院などでは,單に外部の化粧をするだけでなく,まず内科,皮膚科或は産婦人科のそれぞれの専門医の診察や相談をうけ,何かからだに異常があれば,まずその方から治すようにする,それとともに姿勢や歩き方或は腰かけ方,話し方なども。その個性に相応じて最も美しくなるように指導する,こうして2-3カ月或は半年たつと,見違えるように美しくなるということである。つまり美を單に顔の化粧というように狹いものにせず,からだ全体の静的或は動的美を発揮するように努めるということである。確かにこれは合理的な方法に違いない。即ち美とは人工的なもののみでなし,健康から発散する美が必要である。
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