今月の言葉
じつくり考えよう
pp.5
発行日 1952年10月1日
Published Date 1952/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200188
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ことしの夏は,いわゆる残暑が,とりわけきびしいように思われた。しかし,それだけに,涼しい秋風が身にしみて快く感じられる。この秋には,何とか少し努力をして,平素読みたいと思いながらも,つい積み重ねておいた本を読みたいと思う。
聯合軍の進駐以来,わが助産婦の世界にもずいぶん色々のことがあつた。ジープが街頭に停車していると,子供ばかりではない,大人までも足を留めて珍しげに眺めたりしたその頃である。あの頃には,アメリカ,アメリカ,アメリカ,何もかも戰爭中にアメリカが1番進歩してしまつて,アメリカが1番よくて,アメリカが1番豊かなのだ。何だかそういう気持が,多少なりとも私たちの心の中を占領した。助産婦の世界にも,進駐軍がよろしと考える新助産婦の制度が打ちたてられた。それに隨つて,助産婦教育の制度も改変せられた。オイルバスと云うものが推賞されてみたり,妊婦の体重測定が強調されたり,父親学校なども各地方に創設されたりもした。遂には助産婦も受胎調節の講習をうけて,母親たちがあんまり子供を産みすぎないように気をつけたり,その指導をしたりすると云うところまでやつてきた。
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