講座
性ホルモンの知識—特にその投與形式に就て
長谷川 敏雄
1
1東京大學
pp.13-16
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200031
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このような問題は助産婦諸姉にとつてはたいして必要なことではないかも知れぬが,然し近來總ての點に於て知識の向上が要求されており,殊に絶えず家庭に出入して母子保健上の顧問に任じている諸姉として,婦人性機能に密接な關係のある性ホルモン療法に關する基礎的知識の一端を身につけて置くのも必ずしも無意義ではないと思われるので,敢てこの題目を選んだわけである。
さて一般に藥剤の投與形式には注射,内服,塗擦,吸入,注腸等種々な方法があるが,それ等のうち最も一般に用いられる注射及び内服と云う二つの方法に就て考えて見るに,各々の場合に於て投與された藥剤の血中濃度,從て又藥效が開始される迄の時間,及び其の效果の持續する長さは,注射と云う方法に依る場合は靜脈内注射が最も速かに現れ,又最も急速に最高に達するが,消失することも亦最も速かであり,皮下又は筋肉内注射では之に次いでいるに對し,内服と云う方法では效力の出現は最も遲いが其の持續は最も長いと云う關係があり,從て實地上藥剤投與形式の選定に當つては,效力の持續は望まぬが兎に角急を要すると云うような場合には靜脈内注射,それほどでない場合には皮下乃至筋肉内注射,疾患乃至藥剤の性質に依りどうせ急速には效果が期待されず,長期間連續投與が必要であると云うような場合には,實地上便利であると云う點からも内服と云うように,各場合に依り最も合理的な方法に依るべきである。
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