Japanese
English
特集 偶發症との救急處置
抗生物質投與時の偶発症とその対策
The accidents of the antibiotic therapy and its treatment
石山 俊次
1
Shunji ISHIYAMA
1
1関東逓信病院外科
1Department of Surgery, Kantō Teishin Hospital
pp.775-783
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201704
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1.アナフィラキシーショック
1950年東大医学部のインターン生某は,野球試合中に擦過傷を負い,感染予防の目的でペニシリン40万単位を筋注したところ,まもなく蕁麻疹様の発疹と両下腿の点状或は斑状の皮下溢血があらわれた.介意せず帰途についたが,約2時間?後に電車の中で卒倒し,駅長室で介抱されて回復したが,10分間に再び同様の発作があつた.入院してしらべた頃には,軽度の酸性嗜好球増加症のほかは特別の所見もなく,約3週間ののちには出血斑も根跡なく消失した.
当時われわれはペニシリンによるアレルギー反応についての知識が乏しかつたので,本症例のばあいを単にペニシリンによる重篤な副作用として学会に発表したが,今から考えれば,ペニシリン・ショックの本邦初の報告例であつたようである.この種の事故はCormia(1945),O'Donovan & Klorfain(1946)によつて始めて経験され,Templeton et al.(1947),Waldbatt(1949)がそれぞれ死亡例を報告してから,次第に注目されるようになつた.
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