--------------------
ストレプトマイシン投與による聽器障碍
本庶 正一
1
,
三宅 淸美
1
,
中司 幸助
1
1山口醫科大學耳鼻咽喉科
pp.186-189
発行日 1951年5月20日
Published Date 1951/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200494
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
序
ストレプトマイシン(以下ストマイと略記する)は,結核症の化學療法剤として現今最も擴く用いられ,これまで,結核症に使用せられた他の各種藥劑に比して,その効果は極めて大であり,從來殆ど治療不能と考えられていた,結核性脳膜炎,粟粒結核,及び喉頭結核等にも有効である.
しかし,吾々がストマイを用いて結核症を治療する途上には,その進路を阻む2つの障碍があるその 1)は,ストマイの連續投與によつて生ずる結核菌のストマイ抵抗性獲得の問題であり,その 2)はストマイの副作用の問題である.この中,1)はしばらく措き,2)の副作用は,次の2つに大別せられる.1)はストマイの有する本質的な性質で神経症状、特に聽神經の障碍,肝及び腎の脂肪變性等でり,2)は急性の毒作用で顔面紅潮,皮膚發赤,頭痛,發熱,惡心,嘔吐、血壓降下等として一過性に現われるもので,これはヒスタミン樣の不純物のためと考えられている.
Honjo and his associates report a case of disturbances of hearing caused ina patient, a man aged 19, by therapeutic use of streptomycin. Literatures in reference to this subject are reviewed.
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.