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メチオニンの大量投與による皮膚疾患治驗例
山形 志乃武
1
,
三輪 成
1
1京都府立醫科大學皮膚科泌尿器科教室
pp.295-296
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200743
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- 文献概要
以上我々は表皮の急性疾患患者7例にdlメチオニン400mg含有のバンチオニンを全身的に應用し著効を認めた。乃ち症例第7の1例を除く他の6症例は3-6回の注射で完全に或は殆んど治癒せしめて居る。症例7は全身的に發生せるものであるが,其經過を見るに從來の治療法に比し本製劑の効果が大である事は明らかである。斯の如く勿論疾患の種類や症状の程度にもよるであらうが何れにしろ本製劑により治療期間を短縮せしめ得る事は興味ある事實である。更に全症例を通じ本劑の使用に依り副作用とも云ふべきものは全く見られなかつた。
嘗て著者の一人山形が第三回西日本皮膚科泌尿器科學會に於て皮膚疾患に對するメチオニンの効果に就て報告せる際加納教授より300mg位投與したら一層の効果が期待出來るのではないかとの意見があり,我々も其後1%5ccのバンチオニンを2本乃至3本一度に静注し,著効を擧げて居たが,今回偶々萬有製藥の好意に依り2%メチオニン20ccの試作提供を受け使用せしに,所期以上の効果を納め得た。メチオニンのかかる作用機轉に關しては既に前田,幹が種々の考按を加へて居るし先般の第2回皮膚科泌尿器科中部地方連合會に於て我片岡教授の特別演説にもあつた事故之を省略し,自家治驗例に於ける如き一部表皮性疾患の急性初期に於ける治療劑としてメチオニン400mgの如き大量全身的投與は必すや一應試むべきものと思考し此所に推奨する次第である。
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