講座
母子衞生行政
田波 幸男
1
1厚生省兒童局母子衞生課
pp.17-19
発行日 1952年1月1日
Published Date 1952/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200007
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母子衞生行政ということは,母子衞生に關する行政ということである。母子衞生とは,妊産婦,乳幼兒(或は兒童)の健康の保持増進をはかる方法であり,行政というのは國民の安全幸福のために行われる國の作用であるというから,結局母子衞生行政というのは,妊産婦,乳幼兒の健康の保持増進のために,國家や地方公共團體が行つている樣樣な方法,手段であるということが出來るであろう。そして母子衞生行政が進められて行くために,その基準を示しているのが兒童福祉法である。兒童福祉法は,昭和23年1月1日から,その一部が施行され,同年4月1日より全部が施行されるようになり,その後數回の改正を經て今日に至っているものである。
兒童福祉法はその冐頭の3ヵ條に述べられているような目的をもつている。つまりすべての國民は兒童が身心共に健かに生まれ,且つ育成されるように努力をしなければならないのであり,このことに對して國も都道府縣も市町村も,それぞれ責任をもつているのである。母子衞生行政はこのように,兒童の福祉を増進するための大きな力として行われていかなければならない。私は兒童の福祉を眞に向上させるためには,保健,教育,福祉(これはせまい意味の)の3つが平行して行かなくてはならないと考えているが,このような意味からは母子衞生の使命というものは重大なものと考えられる。
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