講座
新生兒の養護
齋藤 文雄
1
1愛育會病院
pp.14-16
発行日 1952年1月1日
Published Date 1952/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200006
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先ず第一に考えておくことは,助産婦の心構えの問題である。從來ややもすれば,母體を重要視するの餘り,新生兒の養護が二次的に考えられる嫌いがないでもない。弱質兒,畸形兒など,ことにそうである。しかし乍ら母體が一生命體であると同じく,新生兒も亦立派な一生命體である。生命という點では,甲乙のない存在である。吾々は他人の,ことに,か弱いものの生命にふれる聖なる仕事に從事している文化の騎士である以上は,人の生命に甲乙をつけることは許されない。何の抵抗もない新生兒の神の如き生命體であれば,その生命を護ることこそ,むしろ人類奉仕の最大の任務と考えるべきである。
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