講座
最近における母子衞生行政
浅野 一雄
1
1厚生省児童局母子衛生課
pp.32-36
発行日 1959年3月1日
Published Date 1959/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201642
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1.母子衛生と児童福祉法
すでに周知の如く,母子衛生に関する法律としては児童福祉法があるが,最近における母子衛生事業の進展にともなつて,本年5月1日からこの法律の一部が改正されるにいたつた.主なる改正点としては,新しく未熟児の問題をこの法律の中にとり入れたことであるが,その他1〜2点母子衛生に関する改正点があるので,それらについて少し解説を加えてみよう.
従来,妊産婦,乳幼児の保健指導は,児童福祉法(以下法と略す)の19条に規定されており,都道府県知事は,妊産婦,又は乳幼児の保護者に対して,保護所又は医師,歯科医師,保健婦,助産婦による保健指導をうけることをすすめたり,乳児又は幼児の健康診査を実施することができるようになつている.又,都道府県知事は,経済的な理由で保健指導をうけることができない妊産婦又は乳幼児の保護者には,その費用を代つて負担する措置をとらなければならないと規定されている.この結果,経済的に恵まれない妊産婦,乳幼児で,健康保持のために医師の診察をうけたり,助産婦にみてもらつたり,必要な検査をうける場合には,「保健指導票」が発行されており,その費用は公費でまかなわれているのである.
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