Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「PERFECT DAYS」—ダウン症の少年を登場させていることの意味を考える
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.669
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203148
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ひとつの問いを立ててみた.役所広司が第76回カンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞に輝いた「PERFECT DAYS」(監督・脚本/ヴィム・ヴェンダース)には,ダウン症の少年が2度登場する.この意味するところは何か.
本作は,小津安二郎監督作品「東京物語」(1953年)において笠智衆が演じた平山周吉という人物を現代に翻訳したものである.小津の遺作となった「秋刀魚の味」(1962年)でも笠は平山周平である.ヴェンダースは,笠が演じてきた「平山」という名の役は,日本の偉大なヒーローの系譜に連なると述べている.ヴェンダースにとってのヒーローとは,「素朴で温和で,正しいことを行う,無私の人」1).
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