【連載】映画と、生きるということ(13)
時代に寄り添う新しい男性の生き方 『PERFECT DAYS』
渡辺 裕子
1
1NPO法人 日本家族関係・人間関係サポート協会 理事長
pp.78-79
発行日 2024年12月20日
Published Date 2024/12/20
DOI https://doi.org/10.32181/jna.0000001846
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ストーリー
東京の下町にある風呂のない古いアパートに住み、渋谷でトイレの清掃員として働く平山という男。まだ夜が明けきらぬうちに起き、歯を磨き、顔を洗い、髭を整える。室内で育てている植物に水やりをし、つなぎに着替えて外に出ます。アパートの脇にある自販機で缶コーヒーを買い、車の中でお気に入りの曲を聞きながら仕事場に到着。仕事は決して手を抜かず、便器の裏側を鏡で確認しながら黙々と取り組む様はまるで修行僧のよう。トイレという空間が、またたく間に彼の手によって磨き上げられていきます。昼食はいつもコンビニエンスストアのサンドイッチ。決まった公園のベンチに腰掛け、木漏れ日を浴びながらしばし休憩。夕方、仕事から戻ると、銭湯の一番風呂に入り、帰り道にあるいつものお店でお酒を1杯。何も言葉を交わさずとも、お気に入りの酒の肴が数品供され、食べ終わると自転車でアパートへ帰り、文庫本を読みながら眠りに落ちます。
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