Japanese
English
症例報告
失語症が脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版(J-SDSA)の成績に及ぼす影響—J-SDSA成績と実車評価成績が乖離した失語症者3例での検討
The effect of aphasia on Stroke Drivers' Screening Assessment Japanese Version(J-SDSA)score: a study of three persons with aphasia with discrepancies between J-SDSA scores and on-road driving assessment scores
川邊 圭太
1
,
那須 識徳
2
Keita Kawabe
1
,
Satonori Nasu
2
1農協共済中伊豆リハビリテーションセンターリハビリテーション部言語聴覚療法科
2農協共済中伊豆リハビリテーションセンターリハビリテーション部作業療法科
1Speech and Language Therapy, Department of Rehabilitation, Noukyoukyousai Nakaizu Rehabilitation Center
2Division of Occupational Therapy, Department of Rehabilitation, Noukyoukyousai Nakaizu Rehabilitation Center
キーワード:
失語症
,
自動車運転
,
J-SDSA
,
実車評価
,
神経心理学的検査
Keyword:
失語症
,
自動車運転
,
J-SDSA
,
実車評価
,
神経心理学的検査
pp.517-521
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203114
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要旨 自動車運転再開の適性を評価するための検査として,脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版(Stroke Drivers' Screening Assessment Japanese Version:J-SDSA)があり,この検査は失語症例にも実施が可能とされている.一方で,言語機能の低下がJ-SDSA成績にどのような影響を及ぼすかは明らかになっていない.今回,J-SDSAで成績低下を認めたが,実車評価の成績は良好であり運転再開に至った失語症例3例を経験したため報告する.対象はいずれも脳卒中にて失語症を呈した50〜70歳台の右利き男性である.標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia:SLTA)の結果は,音声,文字ともに「短文の理解」の成績は比較的良好であった.しかし,より難易度の高い「口頭命令に従う」と「書字命令に従う」では成績低下を認めた.このことから,自動車運転の再開に必要な理解力は,SLTAの「短文の理解」レベルである可能性が考えられた.また,失語症例において「口頭命令に従う」や「書字命令に従う」で成績低下を認める場合は,J-SDSA成績に言語機能の低下が影響する可能性が示された.
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