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入門講座 研究倫理は難しいと思っているあなたに読んでもらいたい 研究倫理の基礎知識・1【新連載】
研究倫理の基礎—被験者保護を中心に
Basic contents of research ethics: with a focus on the protection of human subjects
一家 綱邦
1
Tsunakuni Ikka
1
1国立研究開発法人国立がん研究センター研究支援センター生命倫理部
1Division of Bioethics, Center for Research Administration and Support, National Cancer Center Japan
キーワード:
研究倫理
,
被験者保護
Keyword:
研究倫理
,
被験者保護
pp.505-510
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203112
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本稿は,研究倫理の歴史を概観することと,被験者保護のための主なガイドラインなどについて解説すること,この2点の編集者の依頼に基づく.なお,現在の本邦の最も中心的なルールである「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」および研究倫理制度の要となる「研究倫理審査委員会」については,次回以降の執筆者の連載に委ねられるとのことなので,本稿は基礎的な解説に徹する.
本論に入る前に「研究倫理」と「研究者倫理」を混同する一般的な傾向がみられることと,本稿が扱うのは前者であることを明らかにしておきたい.STAP細胞研究不正事案やディオバン研究不正・利益相反事案などが社会的問題になり,およそ10年前から問題意識が高まった「研究公正(研究不正の防止)」や「利益相反管理」などを主たる内容とする「研究者倫理」は,本稿の射程対象外である.しかし,研究成果が誠実に実施された結果ではなかった,成果が誠実に発表されていなかったということ(ねつ造,改ざん)があれば,研究に協力してくれた被験者の善意を無にすることになり,その意味では,この後で詳述する「被験者保護」を本旨とする「研究倫理」との関連性はもちろんある.
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