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はじめに
近年,器質的心疾患に対するデバイス治療,不整脈へのアブレーション治療,低侵襲な心臓手術手技,潜因性不整脈に対する植込み型心電図記録計などの発展により,脳卒中診療に新しい選択肢が増えてきている.「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕」1)では,非弁膜症性心房細動に対する左心耳閉鎖システム,左心耳閉鎖術,発症早期からのアブレーション治療を含むリズムコントロール,卵円孔開存の関与が疑われる潜因性脳梗塞例に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術がそれぞれの推奨度で記載されており,植込み型心電図記録計についても「植込み型心電図記録計の適応となり得る潜因性脳梗塞患者の診断の手引き(2016)」2)の記載に基づいて使用が普及している.これらの診療については,脳卒中専門医による正確な脳梗塞診断を基にして,ブレインハートチームで診療することが重要とされている.適切な診療を適切な患者に提供するために,治療機関や医療圏の実情に即したブレインハートチーム構築が重要である.本稿では,国立循環器病研究センター(以下,当院)におけるブレインハートチームの活動を紹介し,わが国のブレインハートチームの今後の課題について考察する.
一方,リハビリテーション分野でも,脳血管疾患と心血管疾患が,共通した危険因子(喫煙,高血圧,糖尿病,脂質異常症)や病態を有していることから,両疾患の連携の重要性が指摘されている.当院では,脳血管リハビリテーション科と心血管リハビリテーション科で構成される,循環器病リハビリテーション部が設置されている.循環器病リハビリテーション部では,当院の全診療科よりリハビリテーション依頼を受け,小児から大人まで,あらゆる循環器疾患の病態に応じたリハビリテーションを行うとともに,新たなリハビリテーション法の開発に加え,共同で「包括的循環器リハビリテーション」の推進に取り組んでいる.「包括的循環器リハビリテーション」とは,脳卒中,心血管疾患を対象とし,多職種チームによるおのおのの専門領域の病態に応じた最適な運動療法の提供,循環器病再発防止をめざした疾患管理,自己管理を促すための啓発を行う取り組みである.本稿では,この「包括的循環器リハビリテーション」の一環としての独自の取り組みにつき紹介する.
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