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近年,神経発達症(発達障害)児・者にみられる感覚の問題は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の診断基準に感覚特性が追加されたことや,当事者によって感覚過敏などの困り感が語られる機会が増えてきたことなどから臨床現場において注目され,早急な対応が求められている.感覚特性に関する取り組みは,1970年代より感覚統合療法にて実践されてきており,現在,感覚調整障害という概念にて説明されている.感覚調整障害とは,自己の身体および環境からの感覚入力に対して低反応性,過反応性を示す状態であり1),この結果,感覚過敏,感覚探求などさまざまな行動が生じると説明されている.さらにその状態像は複雑で個人差もあるため,特定のパターンで説明することは困難である.
この行動特性を把握するためのアセスメントツールとして,米国にてSensory Profile,Sensory Processing Measure(SPM)などの質問紙が開発され日本語版に向けた研究や出版もされてきている.一方,日本においても,2000年より一般社団法人日本感覚統合学会協力のもと,日本感覚インベントリー改訂版(Japanese Sensory Inventory Revised:JSI-R)が開発されてきた2).JSI-Rは,国際的に標準化された検査ではないため,国際的な研究には適しないが,日々の臨床や療育支援において手軽に使用できるツールとして広く活用されており,現在,児童支援機関で最も使用されている感覚特性に関するアセスメントである3).また,JSI-Rの簡易版であるJSI-mini,運動の不器用さに関する質問を追加し対象年齢を広げたJSI-3Dも提供されている.
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