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特集 脳卒中下肢機能の徹底改善
下肢痙縮への対応
Rehabilitation treatment for lower extremity spasticity in stroke hemiplegic patients
川手 信行
1
Nobuyuki Kawate
1
1昭和大学医学部リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, Showa University School of Medicine
キーワード:
脳卒中
,
片麻痺
,
筋痙縮
Keyword:
脳卒中
,
片麻痺
,
筋痙縮
pp.161-167
発行日 2023年2月10日
Published Date 2023/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202746
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はじめに
脳卒中による運動麻痺は,上位運動ニューロン障害を主とした痙性麻痺であり,筋痙縮を伴うことが多い.筋痙縮は,Lance1)の定義によると「腱反射亢進を伴った緊張性伸張反射(tonic stretch reflex)の速度依存性増加を特徴とする運動障害で,伸張反射の亢進の結果生じる上位運動ニューロン障害の一徴候」と言われている.すなわち,筋緊張の増加,筋クローヌス,折りたたみナイフ現象として認められ,片麻痺の回復過程で見られる連合反応から共同運動,そして分離運動へ向かう運動機能の回復が阻害される.また,痙縮が長期間持続することによって,筋・腱・靱帯などの関節を構成する組織の短縮や弾性の低下が生じ,関節拘縮やそれに伴うさまざまな関節変形が生じる.特に下肢の場合には,伸展パターンが生じやすく,膝関節伸展や内反尖足などが生じやすい.また,伸展パターンでの歩行は,それ自体が異常歩行を誘発し,反張膝など二次的な合併症につながる可能性がある.
脳卒中の下肢機能の改善に関するリハビリテーション医療においては,この痙縮を抑制・制御することで,分離運動を引き出し,装具療法などを用いながら正常歩行に近い状態にすることが重要である.痙縮への対応は過去に多くの報告がなされ,現在もさまざまな対応が行われているが,今回は,ボツリヌス療法と装具療法を中心に当科での対応を含めて述べたい.
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