巻頭言
Next Stage—30年を振り返って次の時代を思う
中山 恭秀
1
1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.119
発行日 2023年2月10日
Published Date 2023/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202738
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私は今年で臨床経験が30年となった.この30年でリハビリテーション医療は目まぐるしい発展を遂げたように思う.
私が理学療法士になった当時は.まだ脳卒中後のリハビリテーション依頼が1週間たっても出ないことが珍しくなく,長期臥床による廃用が進行し座位や立位へ進めることに非常に苦労した時代である.医学的リハビリテーションをどう進めるかといった問題提起は,われわれより他の診療科からの声が大きかったように感じる.東京慈恵会医科大学病院(以下,当院)では,当時の脳神経外科部長の声掛けでリハビリテーションカンファレンスが始まった.次第に,情報共有することで早期離床につながるといった認識が,他の診療科にも広がったように感じる.神経内科,整形外科,消化器外科などからのオファーがありカンファレンスを開催するに至った.そして,その後時代はクリニカルパスウェイの普及に伴って,早期リハビリテーションの時代に発展していった.早期リハビリテーションの診療報酬が軒並み高い評価となり,ものすごい勢いで需要が高まった.巷ではセラピスト不足から養成校は多数立ち上がり,今もなおその勢いは感じられる.2000年を前に,私は早期リハビリテーション治療の効果をみるために,1日2回リハビリテーション科医と一緒に超早期から脳卒中患者の病棟に出向き,離床が可能か判断する試みを行っている.その取り組みはのちに当院が作成したAbility for Basic Movement(ABMS)という基本動作の状況を共有する評価指標へと発展した.多くの医療機関でも同様に,早期離床の動きが活発となっていったように思う.
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