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私の経歴は膝関節外科医としての26年間と,リハビリテーション分野に転向した後の15年間になります.私の膝関節外科時代は前十字靱帯再建術と人工膝関節置換術がともに学会では中心テーマで,日々進歩し改良が加えられていました.しかし前十字靱帯再建術では再建靱帯の成熟に時間が掛かるためのスポーツ復帰までの長いブランク期間が受傷前のスポーツレベルへの復帰を困難にしています.結局前十字靱帯を損傷しないよう予防したほうがよいという話も出てきて,学会での一つのテーマにもなっています.同様のことが人工膝関節置換術にも言えます.人工膝関節インプラント自体また術式も改良が積み重ねられていますが,生体膝関節と同じ機能を獲得するには至っていませんし,耐久性の問題もあります.やはりできれば人工膝関節置換術が必要とならないよう変形性膝関節症を予防できればそれに越したことはありません.リハビリテーション分野でも,高齢者の要介護対策に向き合うと,加齢によるサルコペニアをいかに運動と栄養で改善するかが重要ですが,やはり若い時期から運動し,栄養を摂り,未然にサルコペニアを防いでおくに越したことありません.
本年7月2日に開催いたしました日本運動療法学会の第47回学術集会のテーマを「高齢化社会への対応,特にサルコペニアに対する運動療法,栄養管理」としました.前述しましたサルコペニアを予防できればそれに越したことはないとの考えが,黒岩祐治神奈川県知事の唱えている「未病」に通じるところがあり,特別講演をお願いいたしました.黒岩知事はフジテレビのキャスター時代から救急医療,准看護師問題と医療関係の話題を取り上げてこられ,特に最近は「未病」で精力的に活動しておられます.
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